織田作之助『木の都』
August 21, 2017

織田作之助といえば、『夫婦善哉』の作者として有名ですが、彼の小説の中で、
わたしは『木の都』という作品が好きです。
『大阪は木のない都だといはれているが、しかし私の幼時の記憶は不思議に木と結びついている。』
という文章から、この小説は始まります。
戦前から大阪は緑が少ないと言われていたのかと、驚きました。
作品中に「夕陽丘」という地名が登場します。大阪の上町台地という高台の西側の地域のことをさし、
高台から西を臨むと大阪湾に沈む夕日が見えたことが由来のようで、今も町の名前になっています。
この辺りには、口縄坂や愛染坂、源聖寺坂など、「天王寺七坂」と呼ばれる坂があります。
界隈にはお寺や神社が多くあるためか、実際に行ってみると、
大阪の中でも比較的、木々の緑が多いように感じられます。
坂の上の高台から、白壁の塀に囲まれたお寺の境内のクスノキや、マキやカイヅカイブキといった木々が、
少しずつ明かりの灯り始めた大阪の下町の家々とともに、夕日に照らされる光景をイメージして描きました。


Please reload
Featured Posts
Please reload
Recent Posts
March 5, 2019
January 4, 2019
January 1, 2019
November 1, 2018
August 21, 2018
Please reload
Archive
Search By Tags
Please reload